のみもののよみもの

第5話後編「nocoritaと能古島サイダー」

登場人物

柴田洋幸さんと祥子さん

noconico cafe

柴田洋幸さんと祥子さん

浅羽雄一さんと八智代さん

ウィロー

浅羽雄一さんと八智代さん

松藤朋美さん

のこのしまアイランドパーク

松藤朋美さん

アイランドパークのイメージ

「島の特産品がほしかった」現場の声が助け舟に。

アイランドパークは、能古島の観光の要となる場所です。昭和44年、創業者の久保田耕作さんが「高度経済成長期を迎えた都会の中で、これから先、コンクリートの建物に囲まれて人々は疲れ果ててしまうだろう。そんな人たちの心を癒す公園が必要になってくる」と自らの田畑をお花畑に変えたのが、アイランドパークの始まりです。

ここで松藤さんは長年にわたり島に来る多くのお客さんと接してきました。だからこそ「島には特産品が必要だ」ということを実感していたのです。「アイランドパークで販売しているものは、それまで島の外で作っているものでした。せっかく島まで足を運んできてもらったのだから、能古島の特産品を販売したい、そう思っていたんです」と当時を振り返ります。

強い味方を得た4人は、そこで新しいアイデアをだします。それは「ノコリータの名前を変えます!」でも「じゃ、安いサイダーに作り直します!」でもない、妥協はしないけれど島の人たちの声をしっかり反映させた新提案。「ノコリータの他に、もう一つ、オリジナルサイダーを作る!」というものでした。

アイランドパークのイメージ アイランドパークのイメージ

島のみんなに愛されるために生まれた
「能古島サイダー」。

そこで誕生したのが今回ご紹介するもう一つの地サイダー「能古島サイダー」です。王道のネーミング、そしてシンプルなサイダーのテイストに、ブルーのガラス瓶、能古島と同じひょうたん型のラベル。「夏の晴れた日に都会から船に乗ってやってきた女の子が、能古島の砂浜で気持ちのよい風を受けながらサイダーを飲む。その姿は島の夏っぽくていいだろうなあ…。そんな時に手にしているサイダーはブルーのガラス瓶でデザインも可愛くて、冷たくて、美味しくて、能古島でしか手に入らないもの。それがいいんじゃない?」これが4人でだした答えだったのです。

とはいえ、一気に2種類をオリジナルで作るというのは予算的にも厳しいこと。そもそも販売者も販売代理店も4人なのでノコリータだけを勝手に作ることも可能でした。しかし、それをしなかったのは、やっぱり島のみんなに地サイダーを愛してほしかったから。そんな想いが伝わったのか、新たに提案した「能古島サイダー」は「そうそう、これこれ!」「能古島っぽい!」と島の人たちに大好評を博したのでした。

能古島サイダー
能古島のイメージ
能古島サイダーとノコリータ
ノコリータのイメージ
能古島のイメージ
能古島サイダーとノコリータのイメージ 能古島サイダーのイメージ

サイダーは島を救う?待望の特産品へ。

能古島初の特産品となった「ノコリータ」と「能古島サイダー」は、想い想いの手書きのプレートが添えられ、ノコニコカフェやアイランドパークなどで販売がスタートしました。島の人々の心配をよそに売れ行きは好調。松藤さんは今も、アイランドパーク内にある駄菓子屋「思ひ出や」で販売業務もしていますが、お客様の中にはサイダー目的で来る方もいらっしゃるのだとか。

「サイダーの成功と相まって、能古島の特産物を使ったお土産も徐々に増えています」と笑顔の松藤さん。また、行政との連携やSNS等を利用した国内外への積極的なPRによって、観光客の客足も戻り、年間を通して国内外から多くの観光客が訪れる、福岡の人気のスポットの一つになりました。

「ノコリータ」と「能古島サイダー」も、12年以上たった今も2種類合わせて年間約3万本強を販売しているロングセラーになっています。インスタで「能古島サイダー」を検索してみてください。2000件以上もの投稿がヒットします(2018年現在)。中でも目立つのは、向日葵をサイダーの空き瓶に飾った投稿です。

「アイランドパークでは毎年、夏になると来場いただいたお客様に向日葵をプレゼントするんです。そしてその向日葵をサイダーの瓶に挿してお持ち帰りされます」と松藤さん。夏になると帰りのフェリーが止まる港には向日葵を瓶にいれたお客様であふれ、その光景は島の風物詩のひとつになりました。飲んだら捨ててしまうペットボトルとは違い、サイダーのガラス瓶はずっと飾っておくことができます。能古島で過ごした思い出が楽しければ楽しいほど、人はそれを形として残したい、と感じるのではないでしょうか。「ノコリータ」と「能古島サイダー」は、その気持ちにぴったりと寄り添うものだったのです。

ノコリータのイメージ

島のみんなに、島に来たみんなに、世界中に!?愛されるサイダーへ。

実は「ノコリータ」と「能古島サイダー」は、それぞれ違う役割を持っています。「能古島サイダー」は、「ご当地サイダーのド定番であり続けてほしい」という想いのもと、能古島でしか手に入れることはできません。ご当地サイダーとして、ラーメン屋さん居酒屋さんジャンルを問わず、島中の飲食店で「能古島サイダー」を目にすることができます。

実は「能古島サイダー」には2タイプのラベルがあることは余り知られていません。その差はよーく見ないと分からず、島の人でも気づいていない人も。気づいた人はかなりの能古島通。アイスで当たりを引いた時のようなニンマリ感が味わえます。ちなみに「こどもびいる」能古島版のラベルにはシバさんご夫婦が!ぜひ、現地で探してみてください。

一方、「ノコリータ」は「能古島の特産品だけでは終わらせない、みんなのノコリータ!」になるべく、来春には限定でもう1種類の味とサイズ違いが登場予定です。またノコニコカフェでは、オリジナルのTシャツやグッズなども展開中。着々と全国各地に販売ルートを増やし、海を越え、国境を越え、アメリカ・ノースカロライナ州でも販売しているとのこと(4人もSNSで知ってビックリ!)。近年では、能古島の甘夏の人気も高まり、ますます目がはなせない存在になっています。

こどもびいる せんぬきホルダー
能古島サイダーとノコリータ
柴さんと祥子さん、浅羽さんと八智代さん

ノコニコカフェのシバさんと祥子さん、ウィローの浅羽さんと八智代さん。この4人だからこそ、能古島だからこそ、誕生した「ノコリータ」と「能古島サイダー」。4人は家族ぐるみのおつきあい…というより、もはや「家族」のような存在です。

ワイワイと楽しそうに話す様子を見ていると、どんな困難もアイデアとユーモアがあれば何とかなる、そう思えてきます。実際、かしこまって会議をしたことは一度もないと言う4人。一般的には新商品の開発というと、大きな企業がどこかマーケティング資料を集めて会議をして~というイメージがあるかもしれませんが「ノコリータ」と「能古島サイダー」は、会議室ではなく能古島の空の下で生まれ、島のみんなを巻き込み、大ヒットを遂げたのです。

「何か面白いことをしよう」という共通の想いのもと、4人の笑い声の中から今日もアイデアが生まれています。

今回ご紹介したのみものはこちら!
nocoritaと能古島サイダー

nocorita

内容量:330ml
オンラインでもご購入できます。

能古島サイダー

内容量:330ml
能古島でのみご購入できます。
ノコニコカフェ

noconico cafeノコニコカフェ

福岡市西区能古島457-1
営業時間 昼すぎ~夕方ごろ(不定休)
※開店情報はツイッターで更新中
https://twitter.com/noconicocafe
のこのしまアイランドパーク「思ひ出や」

のこのしまアイランドパーク「思ひ出や」

福岡市西区能古島 のこのしまアイランドパーク内
営業時間 平日 AM9:00~PM5:00
日曜祝日 AM9:00~PM6:30(年中無休)
http://nokonoshima.com/shop/sh05/

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