
スイカ、マスクメロン、完熟マンゴー、豊潤白桃、そして、ドリアンまで!
ありそうでなかった、人気のフルーツをサイダーにした「果実サイダー」シリーズ。
中でもドリアンサイダーはメディアにも取り上げられて話題となりました。
罰ゲームで使われるサイダーを狙って作った?と思われることもありますが、
いえいえ、それは大間違い。至って真面目に考え、味の試行錯誤をしたものです。

株式会社友桝飲料

株式会社友桝飲料

株式会社友桝飲料

有限会社ウィロー代表


「果実サイダー」は知らなくても「ドリアンサイダー」を知っている人は案外多いのかもしれません。発売当時も面白いサイダーがあると話題となりメディアにも取り上げられました。マレーシアやインドネシアを原産とするドリアン。独特の匂いのある果物を何故、サイダーにしたのでしょうか。当時のことを知る有限会社ウィロー代表の浅羽さん、株式会社友桝飲料の開発課の伊藤さん、商品企画課の廣重さん、渕上さんに「果実サイダー」の誕生秘話とこれからについてお話を聞きました。
浅羽さんは「果実サイダー」の生みの親だそうですが、そもそも、どのようなきっかけで「果実サイダー」を?
きっかけはあまり…美談でも感動的な話でもないんですけど。実は、倉庫にたくさんの在庫の瓶が眠っているから、どうにかできないかという友田社長の相談から始まったんです。
ゼロから作るのではなく、今ある資源をどう生かすかという考え方、当時は珍しかったのでは?
そうかもしれないですね。当時は無糖炭酸水といえば、この形のボトルだったので珍しいものでもなくて。山ほどある在庫を見て、どうしようかなと悩んでいたんですが。実際に手にとってコロンとした丸っこい瓶に触れた時に「スイカのような柄のサイダーにしたら、どうだろう」と。
まず、パッケージのイメージが浮かび上がってきたんですね!
そう!でも見た目だけの話ではなくて。「こどもびいる」からはじまり、トモマスと共に多くの商品開発に取り組んでいる中で「地方の飲料メーカーでも、驚かせるものが作れるはずだ」と考えていました。 そこで「果実サイダー」で目指したのは、「低価格でありながら、まるで本物の果物のようなリアルな風味」であること。シリーズの核となったのは、「これまでサイダーになっていなかった果物」や「普段あまり食べる機会がない珍しい果物」をテーマにすることです。 飲んだ人が「うわ、スイカそっくり!」と驚いたり、新しい果物との出会いを楽しめるような体験を提供したいと考えました。
なるほど。それでいうとドリアンサイダーは象徴的な存在ですね。
ドリアンのあの特有の匂いは興味があるけど、実際のドリアンは高価でなかなか手が伸びないでしょう。サイダーなら飲もう!そう思ってくれる人もいるだろうと考えたんです。だから、ドリアンサイダーは、果実サイダーが生まれる前から構想にはありました。いわゆる罰ゲーム的な使われ方を狙って、というのではなく、至って真面目に考えたんですよ(笑)。





果実サイダーがこだわったのは、これまでの飲料業界にはない果実本来の香り。そんなリアルなフレーバーは、一体どうやって生み出されるのでしょうか。次は、トモマスにある開発室に向かい、開発者の伊藤さんに聞きました。
果実サイダーのお話の前に、そもそもの話ですが。飲料の香りはどうやって作るのですか?
香料メーカーが指定する基準値から最大値と最小値を探りながら、基本となる香りを重ねていきます。例えばリンゴの香料に洋梨の香料を加えて立体的な香りにしたり、ボヤッとした味だったものをスパイスやハーブの香料を加えることで引き締めたり。和菓子のキナコを再現するのに、黄桃の香りに少し黒糖の香りを混ぜることで深みが増すこともあるんですよ。
お料理みたいですね。伊藤さんは、どんなきっかけでサイダーの開発職に?
実は、自分は医薬系の畑で。病気や治療薬の研究をしていました。実験を繰り返して論文を書き、数年かけても実を結ばないこともざら…という世界でした。実はその時から趣味で地サイダーを集めていたんですよ。全サイダーを分析してリスト化していました。気がつけばその6割がトモマスのサイダーだったんです。ここで働いたら面白いかもしれないと思って。
すごいサイダー愛ですね。実際は、どうでしたか?
面白いですよ。ここには、マニュアルが一切ないんです。最初から自分で商品づくりに関わる全てをやって、と任されました。開発スタッフも基本的な作法のみ指導してあとは自由です。
え、いきなりですか!?そこは料理のようにレシピがあるわけではないんですね。
人それぞれ「おいしい」と思う感覚は違うでしょ。だから個々に任せるんです。数字通りにやってできるんなら誰でもできると思うので。本当は大手メーカーのように個々の裁量に任せない方がいいのかもしれませんが、トモマスだからこそ数字にできないものを作ることが大切なんじゃないかって思っているんです。


数字にできないものとは?
自分は小さい頃、本当に貧しくて。あまりジュースを飲んだことがなかったんです。あの頃の自分が、その時に飲みたかった味、デパートの屋上やレストランで飲んでみたかった味を想像しながら調合しています。覚えてるんですよね、中高生の頃、カラオケのドリンクバーのジュースがおいしくて、どうしてこの味が普通に買って飲めないんだと思っていた時のこととか。
あの頃の自分がおいしいって思えるものになっているか、という基準なんですね。
だから開発スタッフには、どこに行って何を食べても・飲んでも、そこで思ったこと、感じたこと、もっとこうしたいこととか、常に意識して欲しいと伝えています。数字通り作ればいいだけなら誰でもだせるものにしかならない。数字にならないものを作る。それが他の大手メーカーとは違う、自分だからこそできる味、トモマスだから生まれるフレーバーになると考えています。
商品化するにあたり、個々から生まれたフレーバーをどんな基準で決定するのですか?
やっぱりそれは「世界観にあっているか否か」です。どんなストーリーを持ち、どんな世界観を持った商品をイメージしているか。企画チーム、ODMならお客様を含め、チームが共通認識を持って取り組んでいます。その世界観にあったものであることが重要です。逆にいうとその世界観にあっていなければ、いくらおいしくてもダメだと開発スタッフには伝えています。




ひとつのフレーバーの背景には、
一人の人生が積み重ねてきた記憶や、
商品に託したい願いや想いが
息づいていました。
あらゆるものがデータ化され、
AIが最適解を導き出す時代にあっても、
人の感性でしかつくれない
“フレーバー”がここから生まれています。