高校生のころ、地元の偉人「江藤新平」(佐賀では幕末から
維新にかけて活躍した他の6名と合わせて七賢人と呼んだり
している)が主人公の「歳月」という作品を読んだ。
記憶上これが司馬さんとの出会いであり、おそらく…その後
の生き方なんかにきっと大きな影響を与えたであろうと、
記念館を訪れて、来場者が自由に書き込みできる大学ノート
を開いてふと気が付いた。



…寒い真冬の夜明け前。暖かい家族のぬくもりの残る寝床を
あとにして騒乱の待つ佐賀へ…その胸中、その運命…
「このまま寝床に居続けることもできるであろう。生涯この
ようにして暮らすこともできるし、げんに世間の多くの人間
はこのようにしてこの世を送っているのである。なぜ自分だけ
が寒気のなかにぬけださねばならぬのか。佐賀で待っている
ものはなにか、あるいは敗北と死であるかもしれない。」

思えば随分前に読んだ記憶に残るこの一節。
司馬さんの書くどの作品の主人公にも共通しているであろう
この生き様らしきものに惹かれて二十数年…
次にまた、自信を持って司馬さんに会いに行くことが出来る日が
訪れますように。