自社製品のラムネやサイダーとは、まったく関係ない話になるけれど、テーマはなんでもいいということだったので、わたしの家に三年前突然いらっしゃったアイドルの話をします。

三年前のその日は、友達と出かける予定だったためその準備をしていました。もうすぐ出かけようとしていた時に部屋の扉を勢いよく開けて入ってきたのは、そのアイドルでした。突然現れたので、驚きのあまり何が起こったのかよくわかりませんでした。何回も言いますが、本当に突然だったので何も準備できていないまま、もてなすことになったのです。

お茶のかわりにお皿に牛乳をつぎ、使わないタオルを下に敷いて座ってもらい、ある程度距離を保ってその姿を見つめていたところ、父が持ってきたのは古くなったロープでした。それを彼の首に巻き、そのロープの端を近くの柱に巻きつけておもてなし終了です。このへんで、薄々気づいているかもしれませんが、アイドルの正体は人間ではありません。子犬です。

この世に生まれてまだ二ヶ月のその子は、近くにあったサッカーボールよりも小さく、毛はふわふわで、サッカーボールに負けないくらい丸い体をしていました。あまりにかわいいので抱きかかえて撫でては撫で、撫でては撫で。魚くらいしかペットとして飼ったことがなかったので、触れられるペットがいることに興奮しました。家に帰ってからは、温めた牛乳を与えたり、夜寒くないように段ボールを準備してあげたりしているうちに彼のアイドルデビューの日は終わったのです。

それから彼はサッカーボールを蹴って遊ぶくらいに大きくなり、ワンワンと大きな声で吠えるようになりました。成長したのは体だけではなく、知恵もつきました。家族みんなが癒しを求めて、彼の元へ訪れ話しかけるからか人間の言葉がわかるようなのです。「散歩」と「ボール遊び」、「ご飯」、「食べる」、「アリ(昆虫)」、「ネズミ」。だいたいこの辺の言葉は理解できているようです。後の二つがどうしてわかるのかは説明すると長くなるので省かせていただきます。すみません。

そんな彼は、毎日わたしが帰ってくると小屋から出てきておすわりしてお出迎えしてくれます。どんなに遅く帰ってもいつも待ってくれる存在がいるだけでとても癒されるんだなと社会人になってから気づきました。癒してもらっているぶん、土日は大好きな散歩とボール遊びに付き合ってあげようかなと思います。